長刀鉾は鉾先に大長刀(おおなぎなた)をつけているので長刀鉾と呼ばれます。

長刀鉾 なぎなたほこ

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 祇園祭の山鉾巡行は7月17日の前祭(さきまつり)と7月24日の後祭(あとまつり)の2回の分けて行われます。7月17日の前祭は午前9時に四条烏丸から四条通を東に向けて23基の山鉾の巡行が始まります。先頭を行くのは長刀鉾と決まっていて「くじとらず」といわれています。山鉾巡行の順番は毎年7月2日に「鬮(くじ)取り式」が行われて決まりますが、前祭の長刀鉾、函館鉾、放下鉾、岩戸山、 船鉾、後祭の北観音山、橋弁慶山、南観音山は籤取らず(くじとらず)と言われ毎年巡行の順番があらかじめ決まっています。

  四条烏丸から東へ歩いて辿り着く四条麩屋町で、斎竹(いみだけ)に張られた注連縄(しめなわ)を稚児(ちご)が切る「注連縄切り」の儀式が行われます。注連縄切りは「鉾がこれから神域に進むことを伝える」意味があり、現在では生稚児の乗るのは長刀鉾だけとなっています。

 長刀鉾の前懸は上村松篁(うえむらしょうこう)の下絵による花模様綴織で飾られ、以前に使っていたペルシャで織られた花文様絨毯(かもんようじゅうたん)は保存されています。胴懸などには16世紀に中国及びその近辺で織られた絨毯を懸けていましたが、それらを保存し今はその複製品が使われているそうです。他にも長刀鉾を飾る懸装品(けそうひん)は中国やインドの絨毯などの歴史的、美術的に貴重なものを所蔵しています。長刀鉾の屋根裏、天井の装飾や破風の彫刻も見事なものが見られます。

 、鉾頭にかざしている大長刀(おおなぎなた)は鉾の進行中に刃先が八坂神社と御所には向かないように取り付けてあり、疫病邪悪(えきびょうじゃあく)を祓う為のものと言われています。

 昔の鉾頭の大長刀には三条小鍛冶宗近(こかじむねちか)作の名刀を取り付けていましたが、現在は宝物として保存されており、天保8年(1837)からは竹に漆を塗り錫箔を貼ったものが使われています。

長刀鉾の鉾町
 京都市下京区四条通烏丸東入る長刀鉾町