京都の桜

 春の京都は桜に美しく飾られます。1200年の歴史を物語る東寺、清水寺や平野神社などの境内には桜が美しく咲きますが、都が東京に遷されて疲弊していた京都を蘇らせる為に明治以降に新しく作られた琵琶湖疏水、平安神宮、岡崎公園なども春は桜に溢れます。

 北の山地から流れ降りてきた高野川と加茂川は出町柳の近くで合流し鴨川と名を変えて、碁盤の目のように整備された京都の街を北から南へ流れます。その高野川、加茂川、鴨川ともに堤防には桜が植えられていて、桜の下の岸辺に沿う道を歩きながら、あるいは対岸から美しい桜が楽しめます。

 上京区の妙蓮寺の御会式(おえしき)桜や大原の実行院の不断桜のように秋から咲き始めて紅葉とともに楽しめる珍しい桜もありますが、京都にも静岡県原産の早咲きの河津桜が植えられている所もあって、東寺の河津桜は3月初旬には満開の赤い桜が見られます。

 出町柳駅の南に建つ長徳寺の門の外では赤い桜が3月中頃から末にかけて満開となり、鴨大橋の南西側の鴨川の岸辺の赤い桜とともに早咲きの桜としてよく知られています。

 京都御苑の出水の桜と呼ばれている大きな枝垂桜や、大石内蔵助を祀る大石神社の御神木の大石桜、同じく赤穂義士を供養する岩屋寺の枝垂桜は3月下旬には満開の花を咲かせます。

 四月上旬には京都の街と京都を取り巻く山裾にに建つ社寺や観光地の桜がいっせいに華やかさを誇ります。京都きっての桜の名所、平野神社では3月上旬に咲き出す桃桜、神門の脇で咲く枝垂桜の魁(さきがけ)から始まり、5月のゴールデンウイークまで見られる八重の突羽根さくらまで2ヶ月もの間に桜が見られます。

 4月中旬に満開を迎える仁和寺の御室桜など、京都の春は長い期間にわたって桜の花を鑑賞できます。

表紙桜4

表紙桜2

表紙桜3